「創る」第15号
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なぎさはくジンの生産に欠かせない蒸溜機▲▲香り付けの原料となるボタニカルジンの生産に向けた取組「火の帆KIBOU」誕生ジンを活用した今後の課題と展望地域活性化の取組2016年度から2017年度までの2年間で、ジンのレシピや製造方法、原料素材の選定及び収集方法、ブランディング、地域との関わり方など多岐にわたる案件の調査・検討を行い、2018年3月に積丹ジンの事業会社である(株)積丹スピリットが設立されました。2019年8月には北洋銀行や日本政策金融公庫から、出資・融資の資金面や販路拡大に向けた支援が決定しました。プロジェクトの事業計画策定における政策間連携やパートナー事業者の発掘、事業推進における官民連携のあり方、酒づくりをゼロベースからスタートさせたことのほか、事業の取組に対する地域住民の理解醸成など、苦慮した部分もありましたが、事業のステップアップに向けては、町内の経済産業団体で組織する「積丹町地域活性化協議会」を活用しながら、官民連携から民主導へ比較的スムーズに移行することができました。町として留意してきたことは、地域住民や議会、関係者へ、毎年度事業報告会を開催し、進捗を説明するなど、取組の「見える化」や情報発信を行うことで、理解浸透に努めてきたことです。遊休町有農地を活用したジンのボタニカル生産については、約90ヘクタールある農地のうち、30ヘクタールを活用して、栽培を行っています。また、畑を耕す際、機械作業ではなく、馬を活用して整地作業を進めることで、馬も資源の一つとして捉え、観光につなげる取組も行っています。5年の月日を経て、ほ2の0ほ20年6月遂にクラフトジン「火の帆が誕生しました。魂に火をともし、積丹の海から世界へ船出するイメージから、ブランド名を「火の帆」とし、商品名の「KIBOU」は、コロナ禍を受けて、名付けたものであり、未曾有の苦境に直面しても希望は絶やさないといった決意が込められています。KIBOU」夏場のウニ漁が盛んな時期は、積丹に旬の食材を求めて多くの観光客が訪れますが、秋から春にかけての時期については、あまり誘客が図られていませんでした。今後は夏場の滞在期間の延長や秋から春にかけた誘客を図るために、ジンの蒸留体験や圃場でのボタニカルツアーといった体験メニューに広がりを持たせられる様々なツアーを構築していくことを予定しています。また、これら「体験メニュー」に「食」と「泊」を合わせた「渚泊」を促進していきます。今後の課題は、ジンの生産という新たな産業の創出を一つの契機に、関係人口の創出・拡大の促進、販路の開拓支援を行っていくとともに、現在も行っている特産品のウニの排出殻を活用した藻場造成等の取組を進め、「積丹式循環型再生産システム」の確立を目指しながら、これらの政策間連携による新たな事業展開を模索していきます。また、(株)積丹スピリットでは、ジン生産の事業の到達点として、ジン販売を通しての観光振興や、森林・農地資源の有効活用等につなげることを想定しているため、今後は購入顧客を通じた積丹町及び積丹半島の魅力の更なるPRを進めることを目標とし、町内の産業団体と連携して、天然資源のみならず、食と酒を生かした新たな滞在型の体験ツアーづくりを行うなど、地域経済や域内資金の循環、新たな投資の呼込みも図りながら、産業の育成を図っていきます。創る▲ジンを生産している蒸溜所08▲積丹ジン火の帆(HONOHO)KIBOU本記事の取組は、積丹町役場企画課で担当しております。お問い合わせ先TEL:0135-44-2111E-mail:kikaku@town.shakotan.lg.jp

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