「創る」第15号
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夕張高校の魅力化に向けて夕張高校魅力化の取組取組と成果課題・工夫した点夕張市夕張市内唯一の高校である道立夕張高校は、人口減少や財政破綻後の小中学校統廃合の影響による夕張中学校からの進学率の低下に伴い、生徒数が減少していました。このため、市は現状を強く受け止め、廃校となった場合のまちの未来に危機感を持ち、一人一人の目標に合わせた学力の向上や夕張の課題を教材にこれからの社会で必要となる力の育成、他の地域の高校生等との多様な交流などを通じた人材の育成を基本目標とする「夕張高校魅力化プロジェクト」の検討を平成27年から開始しました。平成28年に財政再生計画の抜本見直しを行い、本プロジェクトを市の主要施策の一つとして位置づけ、新規事業として計画へ搭載し、平成29年から本格的な事業実施に取り組んでいます。市の地方版総合戦略では、地域課題の解決に向けて「外部の人々と交流し、その知恵を借りながら、ともに挑戦していく」としており、寄附金だけのつながりではなく、ふるさと納税を通じた関わりや活動を生み出していこうと考え、クラウドファンディングという形で夕張高校魅力化プロジェクトに対する支援を募りました。これまで市に対する寄附は、返礼品を希望しない応援的な寄附も多く、まちづくりに対する期待は大きいものがありました。このため、寄附者にとって、自らの支援がまちをより良くしたという実感を得ることが更なる寄附につながると考え、地域課題の解決へのチャレンジ事業である本プロジェクトへ寄附いただいた方々に、その成果を報告することで、まちづくりへの参加を実感してもらおうと考えました。「夕張高校は絶対に無くさない」という明確なビジョンのもと、高校存続への想いと課題解決への道のりを分かり易く示せたことで、寄附者のプロジェクトへの共感と応援を集めることができ、目標額の3倍もの寄附が集まるなど、共感性の高い価値ある事業となりました。また、この取組がメディアに取り上げられたことにより、多方面から問い合わせが来るなど反響も大きく、プロジェクトを広く発信することができました。全国から寄せられた寄附金は、公設塾「夕張学舎キセキノ」の開設準備や運営費用の一部に活用しています。キセキノでは、「目標とする進路を自らの力で切り拓く力を身につける」を理念に掲げ、学力の向上や社会で活躍する人材の育成などを目的とし、生徒一人一人に合わせた学習カリキュラムの作成など個別学習指導の実施、様々な分野で活躍する方を招いた特別講演や企業と連携した特別授業などを実施しています。多くの支援が集まったことで、全国からたくさんの応援をいただいているという意識が夕張全体に芽生え、地域に主体性が生まれました。平成30年度にキセキノをオープンした後、東京において実施されたイベントに参加し、首都圏の寄附者の方々に対して夕張高校の生徒自ら、夕張高校の魅力や自分達の夢、支援への感謝の気持ちを直接伝えました。イベントには寄附をされた方々のうち120名の参加があり、高校生一人一人の想いが込められたプレゼンに涙を流す方もいました。イベントに参加できなかった方々に対しては、ウェブ上で取組の進捗について特集ページを作成し報告しました。その結果、多くの方々から取組への継続的な寄附をいただき、また、夕張高創る夕張高校での学習の様子東京での報告会の様子◆特集クラウドファンディングを活用した道内市町村の取組外部講師を招聘して実施したワークショップ夕張学舎キセキノキセキノでのゼミ授業の様子05

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